もうすぐ白露です。
名前だけを聞くと、朝の草に露が光り、涼しい秋の空気を思い浮かべるかもしれません。
けれど、2026年9月4日に歩いた福島県相馬市は、想像より少しだけ違う顔をしていました。空には厚い雲というより、うっすらとした雲が広がるくもり空。午後1時から2時ごろの気温は25〜26℃です。8月下旬まで家の中ではまだエアコンを使っていたことを思うと、肌に触れる空気だけはずいぶん軽くなった午後でした。
それなのに、馬陵公園に足を踏み入れると、目に飛び込んできたのは深い緑でした。
木々の葉が重なり合い、園内のあちこちで、セミがものすごい音で鳴いています。
空気はもうだいぶ涼しくなったのに、目の前の景色と耳に届く音は、まだ夏の真ん中にいるようでした。
白露を3日後に控えたこの日の馬陵公園と中村神社を、歩いた順に紹介します。
白露とは?意味と読み方
白露は「はくろ」と読みます。
二十四節気のひとつで、「しらつゆが草に宿りはじめるころ」とされる時期です。
二十四節気は、一年を24等分して季節の移り変わりを表した暦で、日本でも古くから使われてきました。
立秋から始まり、処暑を経て、白露、秋分へと進んでいきます。
処暑が厳しい暑さの峠を越すころだとすれば、白露は朝晩の涼しさがはっきりしてくるころ。
空気中の水分が冷やされ、草の葉に露として残りやすくなることから、この名がついたとされています。
素敵な表現ですよね。
2026年の白露はいつ
2026年の白露は9月7日です。
9月4日に馬陵公園と中村神社を歩いたのは、暦の上ではまだ処暑の終わりにあたり、白露を3日後に控えたタイミングでした。
ただ、実際に外を歩いてみると、暦の言葉と目の前の景色が、いつも同じ速さで進んでいるとは限らないと感じます。
暑い日が数日きて、雨が降り、気づいてみると涼しくなっている。
私には夏から秋の移り変わりってこういう感じです。
馬陵公園で見た、濃い緑とセミの声
馬陵公園は、桜が咲いていたころにも歩いた場所です。同じ公園とは思えないほど、景色が変わっていました。

春にはまだ若く頼りなかった葉の色が、夏を越えてすっかり深くなっています。
枝は重たいくらいに茂り、日差しをほとんど通しません。
8月下旬まで、この暑さの中を歩く気になれずにいたことを思うと、この日の涼しさがなおさらありがたく感じられました。園内に人はあまりいませんでした。

けれど、静かというわけではありません。
セミがものすごい勢いで鳴いていました。
一匹ではなく、あちこちの木から重なるように聞こえてきます。
鳴き声が近づいたり遠のいたりしながら、園内のどこを歩いても途切れることがありません。
人影の少ない園内に、その声だけが大きく響いていました。
25〜26℃まで気温が下がった午後になっても、耳に届く音だけは変わらず、真夏そのままの勢いで続いていました。
公園の奥にある小さな水辺を上からのぞくと、水草の間にアオサギが立っていました。
首を伸ばし、水面をじっと見つめたまま、ほとんど動きません。
灰色がかった体の色が水草の緑に溶け込んで、大きな鳥のはずなのに驚くほど目立たず、しばらく目を凝らしてようやく気づくくらいです。
頭上ではセミが鳴き続け、その下ではアオサギだけが静かに立っている。
自然を十分に感じられます。

木々に囲まれた中村神社の石段
馬陵公園から中村神社に進みます。
境内に入ると、ここでもまだ緑は深いままでした。

なかでも足を止めたのが石段です。
下から見上げると、木々の間をまっすぐに伸びる石段の先に、木漏れ日が細かく落ちていました。石の表面に光と影が交互に重なり、上までは見通せません。

華やかな景色ではありません。
石段と木々があるだけです。
けれど、この角度から見上げた眺めには、趣があって美しく、この風景を私はとても気に入っています。
白露を3日後に控えて
馬陵公園でも、中村神社でも、この日いちばん目に入っていたのは緑でした。
気温も湿度も、もう真夏ではありません。
それでも、公園の緑はまだ濃く、セミは相変わらずものすごい声で鳴き続け、水草の中にはアオサギが立ち、神社の石段も深い木々に包まれたままでした。
白露は、草に露が宿りはじめるころとされています。
9月4日の相馬には、その少し手前の景色が広がっていました。
涼しくなった空気の中に、春から夏にかけて育った濃い緑と、あのセミの声だけが、まだそのまま残っていました。石段を見上げたときの静けさも、水辺でじっとしていたアオサギの姿も、白露を迎える前のこの午後に、たしかにそこにありました。
次に馬陵公園を歩くころには、この濃い緑もきっと少しずつ色を変えているはずです。
白露のひとつ前の二十四節気「処暑」の記事もあります。
まだ暑さが強かったころの相馬市の景色と、今回の白露を比べて読むと、季節の変化がわかりやすいです。

参考 国立天文台暦計算室「二十四節気」 国立天文台「令和8年(2026)暦要項」
