2026年11月7日は、二十四節気の「立冬(りっとう)」です。
立冬は、二十四節気のひとつで、暦の上では冬が始まるころを表します。
私が暮らす福島県浜通りでも、朝晩は空気がひんやりとして、肌寒い日が増えてきました。
ただ、そのまま一気に冬へ突き進むかというとそうでもなく、日中はたまに20度を超えるような暖かい日もあり、一日のなかでも日ごとでも寒暖差の大きい時期が続いています。
そんな立冬の頃、いつもの散歩道を歩いてみると、カレンダーのように季節がパッと切り替わるわけではないことがよくわかります。
そこにあるのは、まだ鮮やかに残る秋の景色と、すぐそこまで来ている冬の気配が同じ空間に混ざり合った、この時期ならではの風景でした。
枝の上の鮮やかな秋と、足元に広がり始めた冬の準備
散歩道を歩いていてまず目を引くのは、やはり赤く色づいたモミジです。
日差しを透かした赤い葉はとても鮮やかで、見上げているだけだと、まだ秋真っ只中にいるような気分になります。

けれど、そこから少し視線を落として足元の草むらを見てみると、すでにたくさんのモミジの葉が地面に落ち始めていました。
まだ緑が残る下草や茶色い枯れ草の上に、点々と散らばる赤い葉を見ると、ピークを迎えた紅葉が少しずつ終わりに向かっていることを実感します。

モミジの近くでは、秋の実りもまだ健在です。
葉が少しずつ黄色くなり始めた枝の間には、丸々とした柿の実が濃いオレンジ色に熟していました。また、別の木を見上げると、青空を背景に小さな赤い実が枝いっぱいにびっしりと実っています。
葉の緑と実の赤、そして空の青さのコントラストがきれいで、木々の高い場所にはまだ秋らしい豊かな色彩がしっかりと残っていました。

ふわふわの穂と黄色い草原、咲き始めた花たち
少し視界の開けた場所に出ると、黄色い草花が一面に広がる草原と、白く輝くススキの穂が目に入ってきました。
日差しを逆光に受けて光るススキと黄色い草原の組み合わせは、遠くから眺めるととても華やかです。

しかし、近くまで寄って観察してみると、季節が着実に進んでいるサインがあちこちに見つかります。ススキや猫じゃらしのような草の穂は、すっかり綿毛のようにふわふわになり、種を飛ばす準備を終えて重みで少しずつ倒れてきていました。
黄色いセイタカアワダチソウも、上の方はまだ黄色い色を保っているものの、足元の茎はすっかり茶色く枯れ始めています。

そうして秋の草が役目を終えようとしている一方で、生垣や庭木に目を向けると、これから冬にかけて見頃を迎える花たちが咲き始めていました。
白地に淡いピンクが差したやさしい色合いの花や、丸く膨らんだピンク色の蕾、そして青空に向かって濃いピンクや白の花をたくさん咲かせている木。
草むらが少しずつ色を失っていくのとは対照的に、こうした木々の花が開き始めると、季節が秋から冬へ変わっていくのを感じます。
澄んだ青空のクモと、道路を歩くカマキリ
植物だけでなく、小さな生き物たちの様子にも、この時期ならではの姿が見られました。

頭上に広がる空は、空気が冷たくなってきたおかげか、夏や初秋よりもいっそう青く澄んで見えます。その高い青空を背景に、クモがまだしっかりと網を張って懸命に生きていました。
風が冷たくなり、エサとなる小さな虫も減っていく時期ですが、晴れた日の日差しの中でじっと網の中央にとまっている姿には、思わず見入ってしまう力強さがあります。
そこから視線を地面に戻すと、アスファルトの道路の上をゆっくりと歩く緑色のカマキリに出会いました。
毎年この時期になると、こうして舗装された道路の上を歩いているカマキリをよく見かけます。

草むらから出てきて、いったいどこへ向かっているのでしょうか。
日差しを吸って温まったアスファルトの上で体を温めているのか、それとも冬が来る前に卵を産むための場所を探して移動しているのか。
詳しい理由はわかりませんが、車の通らない舗装路を一歩ずつ進むその姿を、しばらく静かに見守りました。
冬眠前の落とし物と、水辺で並ぶ鳥たち
さらに草むらの中を歩いていると、思いがけないものを見つけました。枯れ草の上に、シマヘビの抜け殻がきれいな形のまま残っていたのです。

途中でちぎれることもなく、頭から尾の先までそのままの形で残された白い抜け殻。
ヘビは寒くなると土の中や石の下などで冬眠に入りますが、これは長い冬を越す前の、今年最後の脱皮だったのかもしれません。
本人の姿はもうどこにもありませんでしたが、静かな草むらに残された抜け殻から、見えないところで進む生き物たちの冬支度が伝わってきました。
散歩の途中、水辺にも立ち寄ってみました。風が穏やかで、水面には空の色が映り込んでいます。その一角にある砂州のような場所に目をやると、種類の違う鳥たちが並んでたたずんでいました。

首をすっと伸ばして立つ黒い鳥。
鵜の仲間にも見えましたが、Googleレンズでも判別できず、種類までは分かりませんでした。
そのすぐ隣では、丸みのある別の水鳥たちが同じように体を休めています。
お互いに警戒する様子もなく、日差しを浴びながら静かに違う鳥同士で同じ時間を過ごしている姿は、見ていてとても穏やかな気持ちになります。
これからさらに寒さが厳しくなれば、水辺で見かける鳥の顔ぶれも、さらに冬らしく変わっていくはずです。
まとめ 季節の境目を歩く楽しさ
「立冬」という言葉を聞くと、ついマフラーやコートが必要な真冬の景色を思い浮かべてしまいます。けれど、こうして実際の散歩道を歩いてみると、11月上旬の自然は「今日から冬」と線を引いたように変わるわけではないのだと改めて気づかされます。
枝に残る赤いモミジや柿の実、まだ太陽の下で活動するクモやカマキリといった「秋の名残」。
そして、地面に落ちた紅葉、ふわふわになって倒れかけたススキ、冬眠前と思われるヘビの抜け殻といった「冬の気配」。
その両方が同じ散歩道の中に同居しているのが、立冬のころの一番の魅力なのかもしれません。
これから少しずつ暖かい日が減り、浜通りの散歩道も本格的な冬の色へと変わっていきます。
寒暖差が大きい時期ですので、みなさまもどうぞ体調に気をつけて、季節の変わり目ならではの景色を楽しんでみてください。
